
ジンの産地とスタイル|5大タイプの違いがわかる

ジンの産地とスタイルがわかると、ラベルの見え方が変わります。じつは「ロンドンドライジン」は、ロンドンで造られたお酒という意味ではないんです。これ、けっこう驚きですよね。この記事では、代表的な5つのスタイルと産地ごとの傾向を整理しました。読み終えるころには、裏ラベルの英語がちょっとした地図に見えてきますよ。
この記事でわかること
- 代表的な5つのジンのスタイルと、その違い
- 「ロンドンドライ」が地名ではない理由
- イギリス・オランダ・日本など、産地ごとの香りの傾向
- スタイル名から味の見当をつける、かんたんな方法
ジンの産地とスタイル、よくある疑問
ジンの棚の前でつまずくポイントは、じつはみんな似ています。スタイル名の意味がわからない。だから味の想像がつかない。そんなところかなと思います。
- 「ドライジン」の”ドライ”って、何が乾いているの?
- ロンドンドライジンは、イギリス産だけなの?
- ジュネヴァって、ジンとは別のお酒?
- ジャパニーズジンは、何がどう和風なの?
ひとつでも心当たりがあれば、この先が効きますよ。つづいて、なぜ知っておくと得なのか。そこから見ていきましょう。
なぜ産地とスタイルを知ると得なのか
理由はシンプルです。スタイル名は、味の予告編だから。ジンの産地とスタイルには、香りの傾向がある程度ひもづいているんです。
たとえば「ドライジン」とあれば、甘さは控えめ。「ジュネヴァ」なら、穀物由来のふくよかさが出ます。つまり飲む前に、方向性がわかるということ。だから好みと外れた一本を、ぐっと引きにくくなります。
もちろん、同じスタイルでも銘柄ごとに個性はあります。それでも大枠がつかめると、選ぶ時間は短くなりますよ。では、その5つを具体的に見ていきますね。
ジンの産地とスタイル|押さえたい5大タイプ

① ロンドンドライジン|スタイル名であって、地名ではない
いちばん見かけるのがロンドンドライジン。しかし、これは産地の表示ではありません。EUの蒸留酒規則(2019/787)が定めているのは、造り方の条件なんです。だから条件さえ満たせば、世界のどこで造っても名乗れます。
ポイントは3つ。まず、香りは蒸溜のときだけで付けること。次に、あとから香料や着色料を足さないこと。そして加糖は1リットルあたり0.1グラムまで。だからすっきりした辛口に仕上がるんです。
ちなみに「ドライ」は、甘くないという意味。乾いているわけではないんですよ。ジンと名乗るには、度数37.5%以上も必要です(出典:The Gin Guild)。
ちなみに2024年からは、樽で寝かせたタイプがEU域内で「ロンドンドライジン」と表示できなくなりました。ルールは、いまも少しずつ動いているんですね。
② ジュネヴァ|オランダ生まれの、ジンのご先祖
ジュネヴァは、オランダやベルギーで育まれたジンの原型とされています。じつは2008年から、EUの地理的表示(=産地を守る制度)で保護されているんです。
造れる場所は、はっきり決まっています。ベルギー、オランダ、フランス北部のノール県とパ・ド・カレー県。そしてドイツのノルトライン=ヴェストファーレン州とニーダーザクセン州だけ(出典:ハッセルト・ジュネヴァ博物館)。
大きな違いは、ベースのお酒。麦芽からつくる原酒を使うため、ウイスキーに近いふくよかさが出ます。だからソーダで割るより、冷やしてそのまま。そんな飲まれ方をすることが多いんです。
③ オールドトムジン|ほんのり甘い、クラシックな一本
ジュネヴァとドライジンの、ちょうど中間にあたるのがオールドトムジン。19世紀に広まった、わずかに甘みのあるスタイルです。1880年代のアメリカでは主流だったと伝えられています。
しかし1890年代以降、蒸溜技術の向上とともにロンドンドライへ主役が移りました。長いあいだ、店頭からほぼ消えていたんです。
転機は2007年。バーテンダーたちの要望を受けて、イギリスのヘイマンズが1860年代の家族のレシピを復刻しました(出典:Hayman’s Gin)。だからトム・コリンズやマティネスのような古典的な一杯には、やはりこれが合いますよ。
④ コンテンポラリー(ニューウエスタン)|自由な現代型
コンテンポラリースタイルは、ジュニパーベリー(=ジンの香りの核になる実)を軸にしつつ、ほかのボタニカルを前面に出すタイプ。「ニューウエスタン」という呼び名は、アビエーションジンの共同創業者が2006年ごろに名づけたものです。
じつは、下地はもっと前からありました。1980年代後半のボンベイ・サファイア。1999年のヘンドリックス。タンカレー ナンバーテン。ジュニパー一辺倒ではないジンが、次々と支持を集めたんです(出典:VinePair)。
柑橘、花、茶葉、スパイス。蒸溜所ごとの発想が、そのまま香りになります。つまりクラフトジンの多くが、この流れにあると考えていいですよ。
⑤ ジャパニーズジン|和素材が香る、日本発のスタイル
日本のクラフトジンが大きく動いたのは2016年。京都蒸溜所が「季の美 京都ドライジン」を発売した年です。日本初のジン専門蒸溜所とされています(出典:京都蒸溜所 公式サイト)。
特徴は、お米のスピリッツをベースにしている点。柚子・玉露・山椒・檜など11種のボタニカルを、6つのグループに分けて別々に蒸溜してブレンドします。手のかかる造りなんですよね。
だから和食との相性がいい、とよく言われます。だしの効いた料理や、白身魚のお造りに合わせるのも楽しいですよ。分類としては、コンテンポラリーに近いと整理されることが多いようです。
ジンの産地ごとの傾向を、表で見くらべる
スタイルがわかったところで、つづいて産地の傾向です。ジンの産地とスタイルは、重なる部分もあれば、ずれる部分もあります。あくまで大まかな傾向として見てくださいね。
| 産地 | 代表的なスタイル | 香りの傾向 | 合う飲み方 |
|---|---|---|---|
| イギリス | ロンドンドライ/オールドトム | ジュニパーが立つ、松のような清涼感 | ジントニック/マティーニ |
| オランダ・ベルギー | ジュネヴァ | 麦芽由来のふくよかさと甘み | 冷やしてストレート |
| スペイン | コンテンポラリー | 柑橘やハーブが華やか | 大きめグラスのジントニック |
| ドイツ | コンテンポラリー | 森を思わせるハーブとベリー | ジントニック/マティーニ |
| 日本 | ジャパニーズ | 柚子・山椒・茶葉などの和の香り | ソーダ割り/ストレート |
ドイツでいえば、黒い森のモンキー47がわかりやすい例。47種ものボタニカルを使い、コケモモやトウヒの新芽まで入っています(出典:MONKEY 47 公式サイト)。土地の景色が、そのまま香りになっているんですよね。
一方でスペインは、ジントニックの文化が育った土地。2000年代初頭、バスクやカタルーニャの星付きシェフたちのあいだから広まったとされています。
使うのは、コパ・デ・バロンという大ぶりのグラス。氷をたっぷり入れ、ジンとトニックは1:4ほどまで。ハーブや柑橘の飾りも豪華です(出典:PUNCH)。そんな一杯、気になりますよね。では、この知識を買い物に落とし込みましょう。
今日からできる、スタイルの見分け方3ステップ

ステップ1:表ラベルのスタイル名を探す
まず、表ラベルを見てみるといいですよ。「LONDON DRY GIN」「GENEVER」などの表記があるはずです。ここが味の第一ヒントになります。
ステップ2:スタイル名がなければ、産地を見る
次に、産地の表示を確認します。スタイル名がない場合、多くはコンテンポラリー系です。産地がわかれば、上の表からおおよその傾向がつかめます。
ステップ3:裏ラベルのボタニカルで答え合わせ
最後は裏ラベル。原材料に並ぶボタニカル(=風味づけに使うハーブや植物素材)の名前が、いちばん正直な情報なんです。柚子があれば和柑橘、山椒があればスパイシー。想像した味と、うまく重なるでしょうか。
この3ステップなら、棚の前で30秒もかかりません。慣れると、ラベルを見るだけで楽しくなってきますよ。
まとめ
ジンの産地とスタイルは、ロンドンドライ・ジュネヴァ・オールドトム・コンテンポラリー・ジャパニーズの5つで整理できます。名前は難しく見えます。しかし中身は「造り方の呼び名」なんです。だから覚えてしまえば、ラベルがぐっと読みやすくなりますよ。
それでも、分類にこだわりすぎる必要はありません。おいしければ、それで最高。今夜の一本が、あなたの「これ好きかも」になりますように。
📖 もっと知りたい方 → ジンの歴史の記事へ
🍸 実際に試したい方 → おすすめクラフトジンのレビュー記事へ
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では、またの記事でお会いしましょー!
さあ、かんぱーい!


