
八代不知火蔵 八つ星 和柑橘
八つ星 和柑橘は、熊本の和柑橘3種だけで造るクラフトジン。香りと味わい、43%の飲み心地、ソーダ割りのおいしさをレビューします。
公開
蒸留所Distillery
スペックSpecs
容量と価格はレビュー時点のものです。
味わいAroma ring
ボタニカルBotanicals
販売店Where to buy
レビューTasting notes
「八つ星 和柑橘」のボタニカル、なんと4種類だけなんです。じつは一般的なジンだと、10数種類使うのが普通。それをあえて、熊本の和柑橘3種とジュニパーベリーに絞っています。しかも造ったのは、ジンの蒸溜所ではなく焼酎の蔵。この記事では香りと味わいを紹介します。さらに43%の飲み心地、公式イチオシの飲み方まで。
まずはボトルから(第一印象)

手に取ると、まずサイズに驚きます。700mlのフルボトル。クラフトジンって500ml前後が多いですから、ずしりと重いんですよね。
ラベルには「YATSU BOSHI」の文字。そして、蔵の名前である八代不知火蔵。じつはこの「不知火」、熊本の八代海の別名なんです。ボトルの時点で、もう産地の話が始まっています。
では、なぜ焼酎の蔵がジンを造ったのでしょうか。
八つ星 和柑橘の一番の魅力
このジンの魅力は、ひとことで言うと引き算です。足すのではなく、削る。そこにこの一本のすべてがあります。
80年以上、焼酎を造ってきた蔵
造っているのは、熊本県八代市の八代不知火蔵。メルシャン八代工場が1939年に操業を開始し、1963年から本格焼酎を造ってきました。つまり、蒸留については80年以上のキャリアがあるわけです。
「地元を代表する酒蔵でありたい」。その願いを込めて、製造場に八代不知火蔵という名前をつけたそうです。ちなみに2021年には、焼酎粕を家畜のえさに活用する取り組みで環境大臣表彰も受けています。
焼酎の枠を超えた、最初の一本
その蔵が2021年、初めてジンを造ります。きっかけは「これまで支えてくれた地域の方々に貢献したい」という想い。そしてこの八代の土地をお酒の力で盛り上げたい、と。
その一本が2023年9月5日、「八つ星 和柑橘」として新しく発売されました。地元への恩返しから始まったジン、という背景がいいんですよね。
なぜ4種類に絞ったのか
ここが最大の見どころです。レシピを開発した出口弘樹さんが、理由をはっきり語っています。熊本県産の和柑橘の良さを前面に出すため、3種類の和柑橘とジュニパーベリーだけに絞ったと。
ボタニカルを増やせば、味は複雑になります。しかし主役はぼやける。だから引き算を選んだわけです。この判断、けっこう勇気がいると思いませんか。
製造を担当した橋本秀一さんの言葉も残っています。「伝統と革新」をコンセプトに試行錯誤を重ね、熱の加え方を工夫して、やさしく丁寧に蒸留したそうです。柑橘の繊細な香りは熱で壊れやすい。つまり焼酎で培った蒸留技術が、そのまま生きているんですよね。この新製法は特許出願中とのことです。
では、その4種を具体的に見ていきます。
使われているボタニカル
ボタニカル(=風味づけに使うハーブや植物素材)は、以下の4つだけです。しかも和柑橘はすべて熊本県産。地元の農家さんが育てたものを使っています。
| ボタニカル | 役割 |
|---|---|
| 青柚子 | 香りと最初のアタック。清涼感を担当 |
| 不知火(デコポン) | 口の中で広がる、ふくよかな甘み |
| 晩白柚(ばんぺいゆ) | 隠し味。ほろ苦さで余韻に厚みを |
| ジュニパーベリー | ジンの香りの核になる実 |
とくに面白いのが晩白柚。八代の特産で、世界最大級とも言われる大きな柑橘です。これを隠し味に入れているんですよ。ジンはドライになりがちですから、その苦みが味の深さになるわけです。
つまり3種の柑橘に、それぞれ違う役割が振られている。オーケストラみたいな設計なんですよね。では、実際に注いでみます。
八つ星 和柑橘の香りと味わい
グラスに注いだ瞬間
栓を開けた瞬間、青柚子がすっと立ちのぼります。柚子の皮を親指でひねったときの、あの青い香り。ジュニパーの針葉樹っぽさは、そのうしろに控えている感じです。
グラスを回すと、奥から丸い甘い香りが出てきます。これが不知火でしょうね。柑橘といっても、レモンのような鋭さではありません。もっとふっくらした和の柑橘の香りなんです。
ひと口飲んでみると
まず来るのは、やはり清涼感。しかし43%という度数のわりに、当たりがきつくありません。焼酎の蔵が造っているからでしょうか、口当たりに角がないんですよね。
中盤で、不知火のふくよかな甘みがじんわり広がります。とはいえ、砂糖の甘さではありません。果実そのものの甘い香りです。そして最後、晩白柚のほろ苦さがすっと締める。この苦みが効いているから、余韻が長く残ります。
ジュニパーの主張は、ロンドンドライジンよりだいぶ穏やかです。だから「ジンらしいキレ」を求める人には物足りないかもしれません。けれども、これは柑橘を主役にした設計ですから。狙いどおりなんです。
この味わい、どう飲むのがいちばんおいしいのでしょうか。
おすすめの飲み方とどんな日に
いちばんのおすすめはソーダ割りです。これ、公式でも一番に推されている飲み方なんですよ。
理由は、香りの引き出し方。炭酸の泡が、3種の和柑橘の香りをまとめて持ち上げてくれます。しかも43%と度数がしっかりありますから、割っても味が薄くなりません。食事と合わせる一杯としてかなり優秀なんです。
シーン別のおすすめ
- ソーダ割り:柑橘が全部立つ。和食と合わせる夕食に
- ジントニック:トニックの甘みで柑橘がふくらむ。休日の昼下がりに
- オンザロック:晩白柚の苦みをじっくり。ひとりの夜に
- ストレート:43%を確かめたい人へ。少量をゆっくり
あなたはどっち派ですか。ソーダで軽くいくか、ロックで苦みを追うか。ちなみに公式サイトでは、ジンは自由なスピリッツだから自分好みの飲み方を探してほしい、とも書かれています。
合わせる料理なら、刺身や白身魚の塩焼きあたり。柑橘の香りが、そのまま薬味の役目をしてくれます。では、他のジンとの違いも整理しておきます。
似た系統のジンとの違い
| 項目 | この一本 | 一般的なロンドンドライジン |
|---|---|---|
| 味の方向性 | シトラス | ドライ |
| ボタニカル数 | 4種 | 10数種 |
| 度数 | 43% | 40〜47% |
| ジュニパー感 | 穏やか | しっかり |
| 得意な飲み方 | ソーダ割り | ジントニック・マティーニ |
いちばんの違いは、やはりボタニカルの数です。しかしこれは優劣ではありません。マティーニのキレを求める日には、たしかに向いていない。一方で柑橘の香りを主役にしたい夜には、これがはまるんですよね。
気になった方のために、買える場所もまとめておきます。
八つ星 和柑橘はどこで買える?
この一本は、もともとインターネット通販と全国の飲食店向けとして発売されました。だからスーパーの棚で見かけることは、あまりないんです。
基本の入手先は、公式オンラインショップと大手通販サイト。加えて一部の酒販店や飲食店でも扱われています。700mlのフルボトルで、価格は4,000円台。ただし変動しますので、購入前にご確認ください。
まとめ
八つ星 和柑橘は、足し算をやめたジンでした。熊本の和柑橘3種とジュニパーベリー、たった4種だけ。だからこそ、青柚子・不知火・晩白柚それぞれの顔がはっきり見えるんですよね。
そして背景には、地元に恩返ししたいという蔵の想いがあります。80年以上の蒸留技術を、柑橘の香りを壊さないためだけに使う。そういう一本です。おいしければ、それで最高ですよね。
こんな人にとくにおすすめです。
- 和柑橘の香りが好きな人
- 食事と一緒に飲めるジンを探している人
- ジュニパーが強すぎるジンが苦手な人
- ソーダ割りをいちばんよく飲む人
🍸 飲んでみたい方 → 公式の商品ページへ
🏠 蒸溜所を知りたい方 → 蒸溜所紹介記事へ
📮 役に立った方 → SNSでシェア
では、またの記事でお会いしましょー!
さあ、かんぱーい!
