
PASSION FRUITS GIN 2025
パッションフルーツジンは、濁りごと味わう年に一度の一本。香りと味、37%の飲み心地、おすすめの飲み方まで正直にレビューします。
公開
蒸留所Distillery
スペックSpecs
容量と価格はレビュー時点のものです。
味わいAroma ring
ボタニカルBotanicals
販売店Where to buy
レビューTasting notes
「パッションフルーツジン」と聞いて、トロピカルな一杯を想像しませんでしたか。じつはこの一本、グラスに注ぐと怪しく濁っているんです。透明感は、ほぼゼロ。けれどその濁りこそが旨みなんですよね。造ったのは、長野の小さな蒸溜所。静岡から届いた100kg超の果実で仕込んでいます。この記事では香りと味わい、37%の飲み心地、おすすめの飲み方まで紹介します。
まずはボトルから(第一印象)

ボトルを光にかざして、思わず「おっ」と声が出ました。液体が、はっきり濁っているんです。ジンといえば無色透明。その思い込みが、ここでいきなり崩れます。
公式サイトによると、これはボタニカルの成分が多いからだそうです。ろ過で澄ませることもできたはず。でも、あえてこのまま瓶詰めしている。濁りは旨み、という考え方なんですよね。
ラベルまで手貼りで、多少のズレは手作りの温かさとしてご容赦を、とも書かれています。工業製品ではない、という宣言のような一本。では、この濁りの中身をのぞいてみます。
パッションフルーツジンの一番の魅力
この一本の面白さは、造りの背景に集約されています。造っているのは長野県信濃町のYAMATOUMI farm & distill。野尻湖のほとりにある、築145年の古民家を改装した蒸溜所なんですよ。
普段は耕作放棄地を自ら開墾して、約20種のハーブを自家栽培しています。つまり畑からボトルまで自分たちの手でやっている蒸溜所。そこに今回、遠くから果実がやってきました。
キャンプ道具と一緒に運ばれてきた、100kgの果実
使われているのは、静岡県で農業を営む「HELLO!VEGGIES」紅林さんのパッションフルーツ。しかもこれ、宅配便で届いたわけじゃないんです。
紅林さん一家が、キャンプ道具と一緒に自ら車で運んできたそうです。その量、総量100kg超。それを友人たちに手伝ってもらいながら、汗だくで仕込んだと書かれています。もはや夏の風物詩になりつつある、とも。
果実を運ぶ道中も、たぶん楽しかったんだろうなと思うんですよね。そういう空気ごと瓶に入っている感じ、伝わりませんか。
今年は「セクシーでスパイシー」
造り方はシンプルです。まず配合を変えたベースの焼酎にパッションフルーツを漬け込みます。次にジュニパーベリーと一緒に蒸留。そして最後に、奥行きを出すためYAMATOUMI GIN 15thバッチを少しだけブレンドしています。
じつは、この最後のひと手間が今年の個性を決めました。ブレンドした15thバッチが、普段より青みがかった香りだったんです。だからトロピカルなのに、少しスパイシー。造り手さん自身が「セクシーでスパイシー。いい響きですね」と書いていて、思わず笑いました。
ちなみにYAMATOUMIのお酒は、毎バッチ味が微妙に違うそうです。工業製品ではないから、と。つまり2025年の味は、この505本だけということなんですよね。
「果たしてこれはGINなのか」
そしてなにより印象に残るのが、公式ページの一節。ラベルにはGINと書いてあるけれど、果たしてこれはジンなのか、判断は皆様にお任せします——。
自分の商品をここまで正直に手放せる造り手は、なかなかいません。要するに、カテゴリーより中身。この潔さが、この蒸溜所らしさなんです。
では、中身のボタニカルを見ていきます。
使われているボタニカル
ボタニカル(=風味づけに使うハーブや植物素材)として公式に名前が出ているのは、パッションフルーツとジュニパーベリー(=ジンの香りの核になる実)の2つ。あとは「その他」とだけ書かれています。
だからここでは、憶測で品目を並べません。ただ、ブレンド元のYAMATOUMI GINには自家栽培のハーブがたっぷり使われています。つまりその香りの土台が、この一本にも流れ込んでいるわけです。
ベースになるお酒も個性的なんですよ。麦焼酎とかす取り焼酎という、和のスピリッツを土台にしています。しかも今回は普段と配合を変えているそうです。この土台があるからこそ、37%でも味に厚みが出るんですよね。
パッションフルーツジンの香りと味わい
グラスに注いだ瞬間
グラスに顔を近づける前から、もう香ってきます。まず来るのは青くハーバルな香り。そのすぐ後ろから、パッションフルーツの南国っぽい甘酸っぱさがふわっと立ちのぼります。
面白いのは、温度で表情が変わること。冷やすと果実がくっきり前に出ます。ぬるくなるほど、ハーブの青さが強くなるんです。ひとつのグラスで、二度おいしい感じですね。
ひと口飲んでみると
口当たりは、想像よりずっとやわらかい。37%という度数のおかげですね。アルコールの刺激がほとんど立ちません。だからストレートでもするっと入ってきます。
中盤で、パッションフルーツの酸味がじゅわっと広がります。とはいえ、甘くはないんです。糖を足していないので、果実の輪郭だけが残る感じ。そして余韻に、公式の言うスパイシーさがぴりっと顔を出します。
濁りのぶん、口の中に残る質感も少し厚め。この「もったり感」が苦手な人はいるかもしれません。しかし、そこが旨みでもあるんですよね。
この個性、どう飲むのがいちばんおいしいのでしょうか。
おすすめの飲み方とどんな日に
いちばんのおすすめはソーダ割りです。公式でもオンザロックと並べて推されている飲み方なんですよ。
理由は、香りの立ち方。炭酸の泡が、パッションフルーツの香りを一気に持ち上げてくれます。しかも37%と度数が低めですから、割っても輪郭が消えません。夏の夕暮れや、風呂上がりの一杯。そんな時間にぴったりなんです。
シーン別のおすすめ
- ソーダ割り:香りが弾ける。夏の夕暮れ、風呂上がりに
- オンザロック:溶けるほど表情が変わる。ゆっくり飲む夜に
- ストレート:濁りの厚みをそのまま。度数を確かめたい人へ
あなたはどっち派ですか。冷やしてキリッといくか、ぬるめで香りを追うか。ちなみに公式には「他にもお好きな飲み方で」とだけ。つまり正解は決めない、というスタンスなんですよね。
合わせるなら、味の濃いものより素材そのままの料理。冷たいトマトや、白身魚のカルパッチョあたりが合います。では、普通のジンとの違いも整理しておきます。
似た系統のジンとの違い
| 項目 | この一本 | 一般的なロンドンドライジン |
|---|---|---|
| 味の方向性 | フルーティー | ドライ |
| 度数の目安 | 37% | 40〜47% |
| 液色 | 濁ったヘイジー | 無色透明 |
| ジュニパー感 | 控えめ | しっかり |
| 得意な飲み方 | ソーダ・ロック | ジントニック・マティーニ |
いちばんの違いは、やはり濁りとジュニパーの主張です。しかしこれは優劣の話ではありません。キリッとしたマティーニが飲みたい日には、たしかに向いていない。一方で果実の香りをゆっくり追いたい夜には、これがはまるんですよね。
気になった方のために、買える場所もまとめておきます。
パッションフルーツジンはどこで買える?
じつはこの蒸溜所、公式オンラインショップをまだ開設していません。理由がまたいいんです。酒販店や飲食店とのつながりこそが核だから、まずはお店を訪ねてほしい、と公式サイトに書かれています。
ですから基本は、全国の取扱酒販店やバーで探すかたちになります。公式サイトには北海道から沖縄までのお店一覧が載っていますよ。一部のお店は自社のオンラインショップも持っています。
ただし今回は505本のみ。しかも毎年つくられるとはいえ、この年の味はこの年だけです。容量・価格はお店によって案内が異なりますので、購入前にご確認ください。
まとめ
パッションフルーツジンは、甘いトロピカルカクテルではありませんでした。濁った見た目のとおり、果実とハーブが混ざり合った濃い一本。しかも37%という度数が、その香りをやさしく運んでくれます。
なにより、背景がいいんですよね。農家さん一家が自分たちで運んできた100kgの果実を、友人たちと汗だくで仕込んだ。その夏がそのまま瓶に入っています。おいしければ、それで最高です。
こんな人にとくにおすすめです。
- 甘くないフルーツのお酒を探している人
- ジンの度数が強すぎると感じている人
- ソーダ割りをいちばんよく飲む人
- 造り手の顔が見えるお酒が好きな人
🍸 飲んでみたい方 → 公式の商品ページへ
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では、またの記事でお会いしましょー!
さあ、かんぱーい!
